「北北西に曇と往け」を読んだ漫画の評価、感想、レビューです。
アイスランド島のランズ・エンドを舞台に日本人少年、慧(ケイ)の探偵業を描くジョブナイルミステリー。
「北北西に曇と往け」は入江亜季による漫画。漫画大賞にもノミネートされたから、すっかりメジャーだよねw。入江亜季の鋭さととぼけたセンスが光る漫画です。雑誌が「ハルタ」から「青騎士」に替わったせいか最近ワイド版が愛蔵版コミックとして刊行されたみたいですね。
「北北西に曇と往け」は簡単にザックリこんな話って説明しようとすると難しいw。行間を描いてるようなマンガなので、「どこがおもしろいの?」と聞かれると何とも説明がしずらい漫画ですよねw。
でも面白いのは確かなのよww。
主人公は17歳のクオーターの日本人。ニヒルでイケメンで高身長、腕っぷしも強い。これで職業「探偵」って、いくら漫画だからってどんなパワーワードやねんって思うよねw。これで美女が苦手で、クルマ(機械)と話ができる・・・おいおい、トンデモ設定が出てきたぞ、おいww。
とはいえ、あんまりスーパーマン的パワーというより、ちょっとした特殊能力といった感じなので変に鼻につく感じでは無いっていうのが面白いとこですよね。むしろ肉体派、洞察力で何とかして行く感じ。
アイスランドの厳しい自然環境っていうのが、人間をちっぽけに見せるのでそのコントラストが凄くいいバランスなんだよね。
名探偵が胸のすくような大活躍!というわけでは実はないんだよね、これw。どちらかというと街の便利屋さん的な感じw。逃げた飼い犬を連れ戻す、ひと目惚れの相手を探すといった仕事がメイン。
まあ確かに難事件ぽいのはちょいちょい起きたりはするんだけど、むしろどちらかと言うと、アイスランドに住む青年の日常系っていう感じかなw。
「へぇ~、アイスランドってこんな感じなんだ」っていう発見があって、むしろ異文化紹介っていう方が、私は面白かったりしてますww。
この独特のテンポと アイスランドの雄大な極北の大自然を舞台に、生活費と暇つぶしのために依頼をこなしていくっていう人物描写が非常に面白い。
なんだかクルマ(ジムニー)で、着の身着のまま旅に出かけたくなる漫画ですww。
アニメ化や映像化されてないので、今回は残念ながら漫画のみの紹介です。
正直アニメ化の企画が立ち上がりそうなマンガだけど、取材とかものすごく金がかかりそうww。
アニメになったら入江亜季の独特な表現が消えちゃいそうで嫌だなぁw。でもNetflixあたりが金出してやってくれないかしら? あ、でも、Netflixが作ったら3Dアニメになっちゃうかもww。
ちなみに私は入江亜季の初期からのファンなので、無条件におすすめですww。
ぜひ大人にこそ読んでもらいたいマンガですね。
「北北西に曇と往け」あらすじ
主人公、御山慧(みやま けい)はフランス人の祖父・ジャックとともにアイスランド島のランズ・エンドに暮らすクオーターの17歳の少年。
元々は日本で暮らしていたみたいですが、日本で言えば高校生の年齢ですよね。今はアイスランドでは気ままな居候生活をしています。クルマや家電、携帯などと話ができる特殊能力を持っていて、その能力を生かして人探しや物探しの探偵業で生活費と暇つぶしのために依頼をこなしています。
愛車はジムニー。このジムニーってところもマニアック。
意外と肉体派で忍び込みやピッキングなど、探偵業としては結構多才です。
ホットドックはマスタードのみ派。肉が何より大好き!主食です。
ジャックの恋人カトラやカトラの姉の娘である美少女のリリヤに絡まれたり突っかかれたりしながら日々が過ぎていくのですが、日本にいる慧の弟、三知嵩(みちたか)行方不明になっていることから騒動が起き始める。三知嵩は、お兄ちゃん大好きなブラコンだが、明らかにサイコパス。彼の周りでは不思議な傷害事件が次々に起きていた。慧とおなじく不思議な能力を持っているんだが、彼の場合、その能力で人を殺すこともできるようで・・・。
とまあ、ネタバレ無しでストーリーを説明するとこんな感じかな?
結構ハードボイルドな内容のようでいて、実はそうでもないっていうのがこのマンガの魅力なんですよね。
とにかくね、こんな内容の漫画なのに、マジで飯が美味そうなんだよねww。
肉が食いたくなる!
美味いパンが食いたくなる!
気の強い美少女に蹴られたくなる!
なんっっっだそりゃ?って思った人、ぜひ一度読んでみてww。
このマンガの魅力に完全にやられちゃうと思うからww。
「北北西に曇と往け」はある意味作者の入江亜季の新境地w
実は私、作者の入江亜季の大ファンですw。
「群青学舎」の頃からずっと追っかけてたので、「北北西に曇と往け」が大ヒットしてホントに嬉しい!
入江亜季の漫画が面白いからってすすめても「ああ、あの絵柄が古い人ね」って笑ってたやつ、ブッ飛ばす! ヒットした途端にコロッと手のひら返しやがって、まあいいんだけどw。
入江亜季の長年のファンからすると「北北西に曇と往け」は、実はちょっと毛色が違く見えるよね。
明らかに新境地? ハードボイルドな大人味に作風を意図的に変えてきてると思います。
「北北西に曇と往け」が気に入って、前作の「乱と灰色の世界」(文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員推薦作品)に手を出すと、ちょっと驚くかもしれないよ。だって何でもありの魔女っ子成長物ファンタジーなんだもん。この境界線の切り替えが入江亜季作品の真骨頂なんだけど、分かんない人にはちぐはぐに見えるかもねww。
実は入江亜季の様々なエッセンスは、初期作品のあの分厚い短編集「群青学舎」全4巻+「コダマの谷」の計5冊にすべてギュッと詰まってると思ってます。この中からエッセンスを一つずつ取り出して新しい舞台と展開を与えてやると、「乱と灰色の世界」や「北北西に曇と往け」が生まれちゃうんですよww。
長年のファンとしては一本の線が見えるので納得なんですけどね。たぶんこの下敷きがあるから入江亜季はこの後200年は新作が描き続けられるんじゃないかと密かに思ってますよwww。
「北北西に曇と往け」は多分名作の仲間入りしてる漫画だと思います。
ただ、初見で気に入って過去作を遡るのであれば、初期作品まで遡るのがおすすめですよ。
「北北西に曇と往け」レビュー まとめ
アニメ化はまだされてないけど、もしかしたら?多分無理だろうなぁw、という作品ですが、かなり行間を楽しめる漫画の一つだと思います。
面白さを短く端的に紹介できない漫画ばっかり紹介してますが、これもその一つだと思ってくださいw。
正直言って名探偵が胸のすくような大活躍!という漫画ではないし、スーパーアクションが炸裂!っていう訳でもない。そういう漫画を求めているならジャンプ系などの違う漫画を選んだ方がいいです。
あまり馴染みのないアイスランドという場所と文化に興味があり、しかもその風景や絵が素晴らしいという漫画を見てみたい、アイスランドに住む青年の日常系が見てみたいって人にはおすすめですよ。
男性だけじゃなく、女性人気も高いっていうのもうなずけます。
気になる人は、ぜひ一度読んでみてください。
何度も読み返したくなる不思議な漫画です。