「不思議の国のバード」を読んだ漫画の評価、感想、レビューです。
まさに外国人(イギリス人)の眼から見た、不思議の国ニッポンの旅行記ですww。
「ふしぎの国のバード」は、個人的にものすごく興味深く惹かれて読んでる漫画ですよ。
「ふしぎの国のバード」は月間漫画雑誌「ハルタ」にて連載されている佐々大河氏による漫画。
実在のイギリス人女性冒険家イザベラ・バードが主人公。著書「日本奥地紀行」をベースにした漫画です。
明治維新後の秘境の地「日本」で、西洋人が通常使わない、前人未到のルートを通って横浜から蝦夷(函館)までを旅するっていう旅行記です。実際何冊も旅行記が残されてますよ。
今回は残念ながら漫画のみの紹介です。アニメ化や映像化は、難しいだろうねぇww。
ノミだのダニだの虫がわらわら出てくるし、感染症だの病気だのが出てくるので、一般向けにしちゃうと面白くなくなっちゃうよね。混浴などの性的な考え方の違いなどの描写もあるので、今の時代じゃコンプライアンス的にNGになっちゃうんじゃない? その西洋的な部分と東洋的な部分の違いが醍醐味なんだからね。
もちろん漫画としては相当面白い。原作設定もされてないので、フィクションも多くかかれているんだと思うんだけど、ただただ昔の知らない日本が面白いww。逆に当時の西洋文化的な常識を私たちが知らないって部分も面白かったりします。ただの旅行記という固苦しい漫画じゃなく、ちゃんとエンターテイメントしてるディスカバリーストーリーなのでグイグイ引き込まれていくこと請け合いです。
正直、日本人だったらぜひ一度読んでおくべきだと思ってます。
私も知らない日本が確実にここにありますよ!
ホント日本って不思議な国ww。
当時の日本人ですら踏み入ったことのない道なき道を旅する物語です。
知の好奇心が大爆発しますよww。
「ふしぎの国のバード」あらすじ
1878年5月20日、著名なイギリス人冒険家イザベラ・バードは、女性単独による日本北部縦断を成すべく明治維新後間もない日本の開港地・横浜に上陸する。
目指すは蝦夷(函館)。
それも数々の西洋人が既に利用していた奥州街道や航海ルートではなく、当時日本人ですら通らない日本海方面の小さな街道沿いに日光→新潟→秋田→青森を経由し、蝦夷地へ向かうという前代未聞の旅であった。
今後近代化で消えていってしまうであろう土着の日本文化と風習を生で感じて記録することが目的です。
様々な反対を押し切って、通訳兼ガイドの伊藤鶴吉(イト)とともに、日本政府から国内の無制限移動を許可した旅行免状を取り付けることに成功したイザベラ・バードはついに旅の第一歩を踏み出します。
ところが、西洋文化とはあまりにかけ離れた生活習慣と衛生状況に度肝を抜かれることになるわけですよww。しかもなんだか日本人、距離感が近い近いww。
しょっぱなからくじけそうになるけど、現地の日本人や日本独特の奇妙な風俗に困惑しつつも魅了され、さらに北へと進んでいく。
というネタバレ無しで書くとこんなストーリーです。
ストーリーだけを書いてしまうと、なんかちょっと堅苦しく聞こえるかもしれないですが、そんなことないですw。めっちゃ笑って読んでますよww。バリバリのエンターテイメントディスカバリーストーリーです。
あくまで漫画なので誇張やある程度のウソは入ってるとは思うけど、かなり綿密に調べ上げられていることはよく分かりますよね。
日本はきれいで清潔だったって、私たちはよく聞かされてきたけど、それは外国人がやってきた江戸や都市部だけであって、実際田舎はどうだったかなんて知らないじゃない? なんだかいろいろ「昔の日本はこうだった」って教えられてきたことにヒビが入ったりちょっと誇らしかったりで、変な感情が動く作品です。
ホントに、知ってるようで私の知らない日本がここにあって、ちょっと不思議な作品ですよww。
「ふしぎの国のバード」は「日本奥地紀行」と合わせて読むと面白い
ベースとして使われている「日本奥地紀行」を合わせて読んでおくと、より面白さが分かります。
合わせて読むと、ハッキリ言って、この漫画のよくできた面白さが物凄く分かりますわww。
ぶっちゃけて言うと、かなりこの「日本奥地紀行」は辛辣!
良くも書いてるけど悪くも書いてるっていう本ですわ。
そもそもイザベラ・バードが日本を旅したのは46歳のときで結構おばちゃんです。
西洋人のキリスト教的思考と完全上から目線の考察に、時々ムカッときたりしますww。
まあ、これは当時としてはしょうがない、かなり正直な感想って感じじゃないでしょうか。
東の果てのこんな国にやってくるのは、お金持ちで上流階級、しかも知識人でないとやってこないわけですから、彼らから見た日本人なんて、未開のウガウガウホウホ言ってる原住民を相手にするようなもんだったと思いますww。
イザベラ・バードがイギリスでどのぐらいの著名な冒険家だったのかは正直ちょっとわからないですが、「日本奥地紀行」は、ある意味当時の本国イギリス人に向けたエンタメ本といった感覚だったんでしょう。そう考えればウケるためにもっと毒づいててもいいと思えるんですが、意外と自分に正直に書かれた内容だなって納得できますよ。
それを踏まえて「ふしぎの国のバード」を読むと、こちらは完全に日本人に向けたエンタメ本に改変されていることがよく分かります。イザベラ・バードは若い女性になってるし、通訳のイトはクールなイケ面になってるしねww。一目で理解できる風俗など、イギリス人の目を通してても、日本人に馴染みやすく理解しやすい内容になってます。
この作者の凄さがちょっとわかる瞬間でもありますよねww。
この2つは読者が全く違うけど方向性としては同じ。そう思って「違い」と「常識」を取っ払って読み比べていくとかなり面白いです。
難しい本ではないので、ぜひまとめてイッキ読みするのもおすすめですよww。
「ふしぎの国のバード」レビュー まとめ
今回絶対、映像化・アニメ化はされないだろうなぁっていう漫画として「ふしぎの国のバード」を紹介しました。
物凄く詳しく調べまくって映像化したら面白いだろうなぁ、と思う反面、そうやって作られたら、多分物凄く地味になってしまうんじゃないかと思ってしまうので、興行的にムリ!ってマンガだと思います。
できるとしたらクローズドのネットフリックスあたりか? 無理だろうなぁww。
正直言って最初の頃はあんまり絵はうまくないですが、どんどん洗練されていって、最新刊ではウソのようにうまくなっていっているのも成長が見られて応援したくなるちょっとうれしいポイントw。
まあ、派手なアクションはない地味な漫画なので、マイナー漫画が好きな人にはドハマりする可能性はあります。
私もすっかりハマってしまいましたww。
日本は開国したぜよ!っていうのは坂本龍馬でお腹いっぱいww。
昔の日本を題材にしてるのに、時代劇でもない、近代ドラマでもない、ちょうど狭間っていうのが私のツボでしたww。
漫画を深く楽しみたいという人は、ぜひ一度読んでみることをおすすめしますよ。